目的:野菜摂取行動と態度,主観的規範,自己効力感,行動変容ステージとの関連について構造的に検討し,世帯収入による違いの有無を検証すること.
方法:横断研究として2014年2月にインターネット調査を実施した.対象者は30~59歳の男女とした.調査項目は性,年齢区分,婚姻状況,居住形態,就業状況,最終学歴,世帯収入を用いた.観測変数は野菜摂取行動,他に主食・主菜・副菜のそろった食事を食べる,副菜を食べる,緑の濃い野菜を食べる,果物を食べるという4つの食行動に対する態度,主観的規範,自己効力感,行動変容ステージを問うた.世帯収入300万円未満,300~700万円未満,700万円以上の3群とし,世帯収入別に多母集団同時分析を行った.
結果:多母集団同時分析の最終モデルにおいて,いずれの世帯収入層でも,自己効力感から野菜摂取行動への標準化パス係数(低収入層0.35, 中収入層0.30, 高収入層0.35)は,行動変容ステージからの値よりも高値であった.自己効力感から行動変容ステージへの標準化パス係数(低収入層0.59, 中収入層0.56, 高収入層0.56)も,態度や主観的規範と比べて高値であった.
結論:世帯収入の違いによらず,野菜摂取行動と最も密接に関連する要因は自己効力感であった.野菜摂取行動の改善を目的とするポピュレーションアプローチにおいては,自己効力感の向上を主な標的とすべきであろう.