日本健康教育学会誌
Online ISSN : 1884-5053
Print ISSN : 1340-2560
ISSN-L : 1340-2560
実践報告
実装研究のための統合フレームワーク(CFIR)活用ワークショップの試み
齋藤 順子 松岡 歩今村 晴彦小田原 幸藤田 康介黒田 佑次郎長尾 日香里島津 太一
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 32 巻 4 号 p. 282-291

詳細
抄録

目的:「実装研究のための統合フレームワーク(CFIR)」は,研究と実践のギャップを埋める実装科学における,実践の影響要因を分析するフレームワークである.しかし,構成概念の多さや抽象的な説明が,研究や現場での活用を妨げている.本実践報告では,研究者と保健医療従事者らを対象にしたCFIR活用ワークショップの運営および目的についての評価結果,および,今後の研究や現場でのCFIR活用推進に向けての提言を報告する.

活動内容:ワークショップは研究および現場での実装のすそ野を広げることを目的とし,保健医療福祉における普及と実装科学研究会第9回学術集会内で開催され69名が参加した.プログラムは,1)講義,2)職域,臨床,地域の3領域別のグループワーク,3)発表&総合討論の3部構成で,グループワークでは,インタビュー逐語録を使って,CFIRの構成要素ごとに実装の促進・阻害要因を特定した.

活動評価:終了時アンケート(回答者49名,回答率71.0%)では約7割の参加者がCFIRを半分程度以上理解できた,約6割が今後CFIRを自身の研究や現場で活用できそうだ,約1割が多様な視点で議論する意義を感じた,と回答した.

結論:今後に向けた提言として,1)ニーズ別ワークショップの開催,2)ファシリテーター養成,3)CFIR実践ツールの開発の3点を示した.今後は,研究者や実践家のニーズに応じた人材育成事例の蓄積が求められる.

著者関連情報
© 2024 一般社団法人日本健康教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top