2001 年 10 巻 1 号 p. 41-51
2年間連続して基本健康診査を受診した中高年住民を対象に森本らに準じた健康習慣9項目を用い総合的なライフスタイルを評価し,ライフスタイル指標の改善と肥満度および血清脂質の変化との関連を検討した。総合的なライフスタイル指標は男性では中年期と老年期で大きく変化し,ライフスタイルの肥満度や血清脂質に及ぼす影響は女性に比べ男性に強く現れることが明らかになり,男性ではその有効性が示唆された。女性ではとりわけ血清脂質や動脈硬化指数(AI)に対するライフスタイルの影響が出現しにくいことが明らかになったが,%ΔHDL-CはBMIの変化と負の相関が認められた。高脂血症の1次予防としては適正な体重やBMI,体脂肪率の維持による肥満予防を目標とした望ましいライフスタイルの確立が必要であることが示唆された。しかしながら,総合的なライフスタイル指標の改善は肥満度や血清脂質値の改善と有意な関連はなかった。