2001 年 10 巻 1 号 p. 52-55
食品タンパク質由来の外因性オピオイドペプチドの大量合成を目指し,Aspergillus oryzae由来のX-プロリルジペプチジル-アミノペプチダーゼ(X-Prolyl dipeptidyl-aminopeptidase,以下XPAPと略す)によるVal-Pro-Arg-OEtの酵素合成について検討を行った。アセトニトリル,ジメチルスルホキシド,ジメチルホルムアミドおよびテトラヒドロフランなどの有機溶媒を用いた含水有機溶媒反応系においては,XPAPによるVal-Pro-Arg-OEtの酵素合成は進行しなかった。一方,水分活性を非常に低くした低温反応系においては,Val-Pr0-OEtおよびArg-OEtの基質濃度比を1:1,-10℃,pHで反応させたとき,Val-Pro-Arg-OEtの酵素合成が確認された。以上の結果より,β-カソモルフィンをはじめ,アミノ末端から2番目にプロリンがある外因性オピオイドペプチドの合成は,XPAPによる酵素合成法が有効であると考えられた。