勤労者の複雑なストレス状況を調査し,早期に予防対策をとるために多面的生活ストレス調査表(12尺度138項目)を作成した。その妥当性や有用性を検討するために,ストレス関連疾患に罹患した勤労者100人においてその調査表を施行した。対照群として同様の職業に従事する健常勤労者(308名)を選び同じく調査表を施行した。対照群においてライスコアの尺度を除くそれぞれの尺度について尺度間の相関性を調べた。また対照群と各疾患群で,それぞれの尺度点数を比較検討した。疾病尺度は疾病の誘因となる生活習慣,疲労度,性格尺度と有意な相関があり,ストレスコーピングなどの生活幸福度の尺度とは逆相関していた。それぞれの尺度における対照群と疾患群との比較においても,各尺度について有意な差を認め種々の妥当性を認めた。これらの結果より,一つの多面的生活ストレス調査表を行うことによって,勤労者における多くの健康情報が得られ,勤労者の総合的なメンタルヘルスケアにおける効率性や有用性が高いことが示唆された。