地域に在住する後期高齢者と前期高齢者の通常歩行と速歩歩行の歩行速度に関連する要因(25要因)について重回帰分析(ステップワイズ法)を用い検討した。その結果,以下のことが明らかになった。1)後期高齢者の通常歩行速度は,0.98±0.27m/secで老研式活動能力指標(β=0.433),外転筋力(β=0.229),骨密度(β=0.185)及びKempテスト陽性(β=-0.208)と有意な関連があった。一方前期高齢者の通常歩行速度は,1.20±0.22m/secで外転筋力(β=0.291),膝関節屈曲角度(β=0.116)及び老研式活動能力指標(β=-0.155),Kempテスト陽性(β=0.149),高血圧既往歴(β=-0.142),脳卒中既往歴(β=-0.142)と有意な関連があった。2)後期高齢者の速歩歩行速度は,1.42±0.38m/secで老研式活動能力指標(β=0.373),外転筋力(β=0.217),握力(β=0.270)及びKempテスト陽性(β=-0.165),肩痛(β=-0.137)と有意な関連があった。一方前期高齢者の速歩歩行速度は,1.60±0.31m/secで膝関節屈曲角度(β=0.172),外転筋力(β=0.142),下肢伸展筋力(β=0.135),外転筋力(β=0.118),老研式活動能力指標(β=0.116)及び高血圧既往歴(β=-0.146),呼吸器疾患既往歴(β=-0.146),Kempテスト陽性(β=-0.118)と有意な関連があった。
