日本健康医学会雑誌
Online ISSN : 2423-9828
Print ISSN : 1343-0025
原著
妊娠中の女性看護師を対象とした出産後の就業継続意志に影響する要因
冨樫 千秋佐久間 夕美子叶谷 由佳
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2020 年 29 巻 1 号 p. 9-16

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抄録

目的:妊娠中の看護師対象に質問紙調査を実施し,出産後の就業継続意志に影響する要因について明らかにすること。

方法:2005年22~44歳既婚女性の就業率が全国平均53.5%より低い都道府県で病院情報2012年度版(医事日報)に掲載されているすべての病院の看護部長に研究協力依頼と妊娠中の看護師数を尋ねる調査票を送付した。看護部長の研究協力が得られた施設に妊娠中の看護師数の質問紙を送付した。

結果:156施設736名の看護師に質問紙を配布し481名から回答があった(回収率65.4%)。出産後も仕事を継続する予定である者は460名,予定はない者は17名であった。ロジスティック回帰分析により,年齢が1歳あがるごとに1.224倍,妊娠中の配慮がない職場勤務者に比べてある職場勤務者が4.794倍,育児に対して家族の支援が受けられない者に比べて受けられる者が5.698倍,家計を主として支えている者が自分である者に比べて自分でない者が0.166倍,看護師以外の専門資格が助産師である者に比べてない者が7.012倍出産後も仕事を継続する予定であることが明らかになった。

考察:妊娠中の看護師において出産後の就業継続要因としては個人的な要因や職場環境の影響があることがわかった。出産後も仕事を継続することを支援するには育児に対して家族の支援体制がない場合の配慮や,妊娠中の配慮が重要であることが示唆された。

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