本研究は,チェアヨーガプログラムのDVDが軽費老人ホーム(以下,ケアハウス)に入居する高齢者女性の身体機能への影響を検討することを目的とした.千葉県内のケアハウスにおいて,前向き非ランダム化比較研究で実施した.ケアハウス入居者の高齢女性22名が研究に参加し,チェアヨーガプログラム群(n=11)と対照群(n=11)の2つのグループに割り当てられた.チェアヨーガプログラムは,研究参加者がビデオガイドを視聴しながら実施ではできるようにDVDに記録され,毎週30分間のチェアヨーガ・セッションを含むプログラムを4週間にわたって実施した.身体機能は,体重,BMI, 柔軟性,握力及び歩幅,脈拍,血圧を評価した.
介入前後,グループ内及びグループ間の変化を分析には反復測定の二元配置分散分析を用いた.体重[F(1, 20)=7.080,p=0.015]とBMI[F(1, 20)=6.567,p=0.019]に交互作用がみられた.対照群において体重とBMIに時間による主効果(介入前後)が示された.対照群では介入期間中に体重とBMIが有意に増加したのに対し,介入群では変化していなかった.その他の測定では有意な交互作用は観察されなかった.研究期間内に有害事象は発生しなかった.
本研究は予備的研究であり,対象数が少なく身体機能への影響については明確な結果は示されなかったが,国内のケアハウスやその他の高齢者施設におけるチェアヨーガプログラムDVDの実現可能性や安全性,入居者の受け入れやすさ,費用負担の少なさが示唆された.