日本健康医学会雑誌
Online ISSN : 2423-9828
Print ISSN : 1343-0025
原著(質的研究)
生活支援コーディネーターによる「住民主体の通いの場」の設立における高齢者住民の主体性・互助の力を高める支援
椙本 真理子清水 真由美中北 裕子
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2024 年 32 巻 4 号 p. 470-479

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抄録

生活支援コーディネーター(以降LSC)による住民主体の通いの場設立における高齢者住民の主体性・互助の力を高める支援を明らかにするため,LSC 7名に,半構造化面接を行い質的帰納的に分析した。住民主体の通いの場設立においてLSCは,住民と直接関わりを持ちながら,【住民特性の理解】や【住民の関係性の理解】を深め,住民の主体性や互助の力の現状を把握し,設立支援方針を見極めていた。さらに,高齢者住民の主体性を高めるために,【住民との信頼関係の構築】,【住民への地域状況の発信】,【住民の意見の尊重】,【設立への合意形成】,【運営体制の構築】,【住民の自主性の醸成】という支援を行っていた。高齢者住民の互助の力を高めるために,【気遣える仲間づくり】,【支え合う仕組みづくり】,【互助の育みを見据えた見守り】という支援を行っていた。LSCは,住民主体の通いの場設立において,住民の特性に合わせながらエンパワメントの過程を支援することにより主体性を高めるとともに,住民同士の関係性に合わせた互助の力の基礎づくりをしていた。さらに,LSCによる互助の力を高める支援は,通いの場だけでなく地域における互助の拡大も見据えた支援であることが示唆された。

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