抄録
【はじめに】平成18年度の介護保険の改正により要
支援1.2に対する予防給付として介護予防サービス
が提供されるようになり、当ステーションでも介護予
防の訪問リハビリが増えてきている。
今回 要支援2の認定を受け訪問リハビリを受けな
がら在宅生活を送っている3症例についてADL等の
比較検討を行なったところ、その障害特性について詳
しく分析する事が出来たので考察を加え報告する。
【対象と方法】当ステーションにて訪問看護7を利用
中で要支援2の認定を受けている3症例に対し身体機
能・基本動作・ADLについて訪問中に評価を実施した。
基本動作・ADLについては7段階評価で行った。
評価時期は平成19年4月20日現在のものとする。
【症例】
症例1;82歳 女性 両側股関節 膝関節OA
症例2;66歳 女性 脳梗塞後遺症 右片麻痺
症例3;74歳 女性 脳出血後遺症 左片麻痺
【結果】(症例1)変形拘縮;股関節屈曲;右90°左60°
膝関節屈曲;右90°左60°麻痺、筋力低下なし。
基本動作;寝返り1長座位保持2 他はすべて6,
ADL ;6~7 訪問回数週2回
(症例2) 変形拘縮;なし 麻痺;右Bstage上肢V
下肢V 筋力;上肢4~5下肢3~4。基本動作;
歩行3 他は6~7 ADL;清拭、浴槽移乗、歩行3
他6~7 訪問回数週1回
(症例3)変形拘縮;左肩関節屈曲;80 肘関節屈曲;60°
足関節背屈;5°麻痺;左Bstage上肢II下肢IV
筋力;左上肢1下肢4 基本動作;6~7
ADL;食事・整容浴槽移乗4 清拭2 更衣動作5
他6~7 訪問回数週1回
【考察】3症例を客観的な検査方法で比較検討したが
数値的なデータを用いる事で、全体的な評価をする事
が出来た。3症例のADLはほぼ自立に近い状態になっ
ているが、各々限局した項目に低下が見られ、障害の部
位や程度を反映していると考える。
この3症例は実際に家庭生活や社会生活を送りながら
生活している障害者である。その障害そのものは回復困
難であり残存機能の維持、2次障害や廃用性機能低下の
予防を行なわなければ、機能低下により寝たきりのきっ
かけを作ってしまう状態である。以上のことから要支援
2のレベルの方は、介護も一部必要であるがそれ以上に
各々の障害に応じた機能を維持するために積極的なリハ
ビリが必要であると考える。