近畿理学療法学術大会
第49回近畿理学療法学術大会
セッションID: 26
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亜急性期病床に入室している人工股関節全置換術施行患者のリハビリテーションの傾向
*福島 隆久竹嶋 宏剛西埜植 祐介中島 敏貴杉島 裕美子
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抄録
【はじめに】 当院(総病床数370床)では、平成17年4月より亜急性期病床を8床導入している。亜急性期病床では様々な問題(疾患・合併症・家庭環境・居住環境)でクリティカルパス(以下パス)から遅れるケースに対応し、週6日のリハビリテーション(以下リハ)機能、他職種との連携強化(医療ソーシャルワーカー(以下MSW)の介入、退院前訪問、退院前カンファレンス)を図り、急性期病床から患者を受け入れ在宅復帰の後方支援を行っている。 【目的】 今回特に整形外科でも一般的な疾患である人工股関節全置換術(以下THA)に照準を絞り、急性期病床患者(以下急性期群)と亜急性期病床患者(以下亜急性期群)の傾向を調査したので報告する。 【対象と方法】 平成18年4月1日から平成20年12月31日までに当院でTHAを施行した全39名のうち、急性期群21名と亜急性期群18名に分け、状況をカルテから後方視的に調査考察を行った。調査項目は、年齢、在院日数、Barthel Index(以下BI)、SLR挙上獲得時期、移動レベル、定期カンファレンス以外の他職種との連携実施率(退院前訪問・サービス担当者会議)とした。 【結果】 平均年齢は急性期群68.6歳、亜急性期群71.0歳、平均在院日数は急性期群31.0日、亜急性期群47.3日であった。平均BIの経緯は急性期群で入院時89.4点 / 術後2週目87.7点 / 退院時98.3点、亜急性期群で入院時84.0点 / 術後2週目80.5点 / 退院時98.6点と退院時には急性期群と同レベルの状況で退院が可能となっている。SLR挙上獲得時期では急性期群9.0日、亜急性期群12.5日と有意差はなかったが急性期群の方が獲得の早い傾向として見られた。術後2週目のパスの移動レベル(当院では杖歩行実施)に到達していない患者は急性期群19.0%、亜急性期群77.7%であった。退院時に杖歩行に到達していない患者は急性期群9.5%、亜急性期群11.1%であった。定期カンファレンス以外の他職種との連携実施率は急性期群5.0%、亜急性期群59.0%であった。 【考察】 当院ではTHA術後2週程度でMSWを中心とする亜急性期判定会議を行っている。しかし全ての患者が候補として挙がらず、空床状況・医学的観点・投薬状況などの視点から候補者は絞られている。今回リハの観点から術後2週目の時点でADLが著しく低下している・パスから逸脱している患者の7~8割が亜急性期病床へ入室している傾向が認められた。亜急性期病床入室後、急性期群と比べ移動レベルが目標に到達していない患者に十分なリハを提供でき在院日数延長に伴い機能改善が図られた。またADLから見て入院時・術後2週目に亜急性期群がADLの低い傾向にあったが、他職種連携及び地域連携を頻回に行うことにより退院時には急性期群と同じレベルで在宅復帰を可能としていると考えられる。
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© 2009 社団法人 日本理学療法士協会 近畿ブロック
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