近畿理学療法学術大会
第51回近畿理学療法学術大会
セッションID: 105
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上肢挙上位での肩甲帯挙上が肩関節周囲筋の筋活動に与える影響
*三浦 雄一郎福島 秀晃大川 真美鈴木 俊明森原 徹
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キーワード: 肩甲帯挙上, 棘上筋, 筋電図
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抄録
【目的】臨床において肩関節疾患患者や脳血管片麻痺患者などで上肢挙上時に肩甲帯挙上の代償動作を認めることが頻繁に観察される。しかし、この上肢挙上時に認められる肩甲帯挙上が肩関節周囲筋に与える影響についてはほとんど知られていない。そこで上肢空間保持における肩甲帯挙上が肩関節周囲筋の筋活動に与える影響について筋電図学的分析を行い、若干の知見を得たので報告する。 【対象と方法】対象は健常男性5名右側5肩であった。測定筋は三角筋前部線維、中部線維、後部線維、棘上筋、棘下筋とした。棘上筋は針筋電図を用い、それ以外の筋は表面筋電図にて測定した。筋電計myosystem1200(Noraxon社製)を用いた。運動課題は座位にて90°屈曲位にて5秒間保持させ、3回施行した。また肩関節屈曲90°位にて頸部や体幹のアラインメントに影響を与えない程度の肩甲帯挙上を行わせ、同様に測定した。分析方法は座位での肩関節屈曲0°位の筋電図積分値を算出し、これを基準に筋電図相対値を算出した。 【説明と同意】対象者には研究の趣旨を説明し、同意を得た。 【結果】肩甲帯挙上での上肢挙上は棘上筋において全例高い筋活動が示された。三角筋および棘下筋の筋活動に関しては肩甲帯挙上の有無で変化を認めなかった。 【考察】肩甲帯挙上を行わせることで同様の肩関節屈曲角度であるにもかかわらず、棘上筋は高い筋活動が示された。棘上筋が肩甲上腕関節安定化に作用すると仮説したら肩甲帯挙上の有無にかかわらず筋活動は同程度であると考えられる。そのため棘上筋は肩甲胸郭関節に作用したと考える。肩甲帯挙上は鎖骨挙上でなされるが肩鎖関節に運動が生じない場合、鎖骨挙上によって肩甲骨上方回旋が生ずる。よって肩甲帯挙上がない条件での肩甲骨上方回旋角度に調整する必要性があり、棘上筋は肩甲骨下方回旋に作用したと考える。三角筋各線維および棘下筋は肩甲帯挙上によって筋活動がほとんど変化しなかったことから、棘上筋のみ肩甲骨アラインメントに調整に関与したと考えられる。 【理学療法研究としての意義】上肢挙上時における肩甲帯挙上は棘上筋に過剰な筋活動を強いることが示されたことからインピンジメント症候群などの肩関節疾患患者においては充分な配慮が必要であると考える。
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© 2011 社団法人 日本理学療法士協会 近畿ブロック
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