近畿理学療法学術大会
第51回近畿理学療法学術大会
セッションID: 26
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外科手術における術後肺合併症関連因子の検討
-術前呼吸器教室参加者を対象としたロジスティック回帰分析-
*原田 昌宜奥村 高弘深谷 直基若林 成享
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抄録
【目的】胸・腹部外科術後では手術による痛みや呼吸能力の低下に伴い、無気肺・肺炎などの術後肺合併症が生じ易い。そのため当院では、胸・腹部外科手術予定の患者に対して術前呼吸器教室を実施している。今回、術前呼吸器教室参加者の術後肺合併症の併発率を明らかにし、また多重ロジスティック回帰分析を用いて、術後肺合併症関連因子について明らかにすることを目的に検討した。
【方法】対象者は2008年4月から2010年3月に当院で術前呼吸器教室を受講後に外科手術を施行した全305例(年齢64.4±13.9)とした。術前に対象者の年齢、身長、体重、Body Mass Index(以下BMI)、肺機能(%VC・FEV1.0%)を測定し、診療録より後方視的に手術部位および術後肺合併症の有無を調査した。
術後肺合併症発生に影響を及ぼす要因を検討するため、目的変数を術後肺合併症の有無とし、説明変数として年齢、BMI、%VC、FEV1.0%、手術部位(上腹部、下腹部、胸部、その他)としてステップワイズ法での多重ロジスティック回帰分析を行い、採択された要因はその影響の大きさを確認するため、オッズ比を算出した。なお有意水準は5%とし、オッズ比は95%信頼限界をもって有意と判断した。
【説明と同意】対象者には研究参加前に十分な説明を行い、自由意志により研究参加の同意を得た。
【結果】術後肺合併症の併発率は2.6%(305例中8例)であった。その内訳は1例に肺炎・無気肺が認められ、他は無気肺のみを認めた。合併症併発日は術後2.3±1.3日であった。また術後肺合併症関連因子として採択されたのはBMIと手術部位のみであり、オッズ比(95%信頼区間)はBMIが1.20(1.07-1.34)、手術部位として上腹部が8.61(1.91-38.75)であった。
【考察】先行研究にて術後肺合併症への影響因子として、術前呼吸器機能、年齢、手術部位、肥満が挙げられることが多い。今回の結果からBMIが1%増加することで術後肺合併症の併発率が1.2倍、上腹部手術であることで8.61倍となることが明らかとなり、年齢や術前呼吸器機能(%VC、FEV1.0%)は術後肺合併症関連因子として有意ではなかった。
【理学療法研究としての意義】術後肺合併症併発のハイリスクとして、肥満および上腹部手術が考えられ、これらの患者に対して、術前より積極的な教育および訓練の実施が必要である。さらに術前に止まらず、術後も十分な管理を行うことが必要であり、術後早期より積極的な呼吸リハビリテーションの介入が必要と考える。
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© 2011 社団法人 日本理学療法士協会 近畿ブロック
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