抄録
【目的】
当院では自宅退院する患者で住宅改修後の環境に適応できず、身体能力を十分に発揮できないと予測される症例に対して短期間の訪問リハビリテーション(以下 訪問リハ)を行い、可能な限り自立した生活ができるようにアプローチしている。急性期病院である当院では2009年より短期集中訪問リハビリテーション実施加算の算定期間である3ヶ月を訪問リハ期間とし短期集中訪問リハに取り組んでいる。今回退院前訪問から訪問担当療法士が積極的に介入することにより、スムーズに自宅での生活獲得に至った症例を担当する機会を得たので報告する。
【方法】
当院では「 機能改善 」「 環境適応 / 介護指導 」「 介護サービスの移行 」を3本柱とし、短期集中訪問リハ導入にあたり退院前訪問指導(以下 退院前訪問)を必須としている。今回2症例に対して退院前訪問時に本人外出のもと、スタッフが同行し実際の生活場面で動作確認をすることにより「 住宅改修 」「 福祉用具の選定 」「 生活動線の確保 」「 訪問リハの内容 / 目的 」を具体的に検討した。
【説明と同意】
ヘルシンキ宣言に基づき、本人・ご家族様に対して研究に関する説明を十分に行い、同意を得た。
【結果】
症例1 : 75歳、男性、要介護2、独居、性大腿骨内顆骨壊死により歩行困難・自宅生活困難となり、平成23年2月に関節鏡下関節滑膜切除術を施術した。入院前の活動性は低く坐位中心あったが、術後歩行機能が上がり(近位見守りレベル)、本人の自発的な活動が増え転倒の危険性が高くなった。今後1人暮らしのため施設入所を検討していたが本人の強い希望により自宅退院となった。自宅退院にあたり、介護サービスの介入を拒否されたため、環境調整でどこまでの身の回り動作できるかの確認が必要となった。退院前訪問にて担当ケアマネージャー・ヘルパーと共に具体的な活動範囲・生活動線を設定した。退院後ヘルパーと共に週2回1ヶ月の短期集中訪問リハを行い、屋内伝い歩き / 屋外杖歩行の獲得、簡単な炊事・洗濯を役割付け、最終的にデイサービスに移行することが可能となった。
症例2 : 71歳、女性、要介護3、2人暮らし、大腿骨頚部骨折により平成23年5月に大腿骨人工骨頭置換術を施術した。入院前より屋内這って移動し主人の高齢介護に限界を感じていた。既往歴に髄異形成症候群があり術後車椅子生活が予想されたため、介護負担の軽減・安全な生活動線の獲得を目的住宅改修・福祉用具の選定・介護指導を中心とした院前訪問指導を行った。1回目の退院前訪問にて玄関アプローチ、屋内車椅子移動の動線を検討し、福祉用具専門員と具体的な福祉用具・住宅改修を話し合った。退院後に自宅でレンタルする車椅子を借り具体的な動作練習を入院中に行い2回目の本人同行の退院前訪問で実際の動作確認を行った。退院後、玄関のアプローチ、屋内車椅子移動、本人希望の可能な限りの家事への参加を考慮し短期集中訪問リハを行った。
【考察】
退院前訪問指導に訪問担当療法士が同行するようになり
_丸1_ 実際の場面での動作訓練 / 確認したことにより、訪問リハ初回から生活環境に即した動作訓練が可能となった。
_丸2_ 退院前に関わる事により本人・家族とのコミュニケーションが図れ、訪問リハ・介護サービスの導入がスムーズになった。実際にヘルパー・デイサービススタッフ・家族に介助方法・活動範囲を具体的に知って貰い、利用者の自立心を向上させ活動・参加につながり、退院直後から介護負担の軽減を図れた。
_丸3_ 身体機能や本人・家族のニーズに応じて退院を見据えた具体的な住環境の整備や福祉用具の選択を行ったことがADL・QOLの向上につながった。
_丸4_ 退院前訪問、入院中から関わることで訪問リハの目的を本人・家族・訪問担当療法士が相互理解することが短期終了を可能にしている。
【理学療法研究としての意義】
短期集中訪問リハを導入する上で入院中から実際の生活場面で訪問担当療法士が介入することは問題点をより具体的に共有できるだけでなく退院後の他職種との連携に大きく反映し、より効果的な短期集中訪問リハを提供することが可能であると考えられる。