近畿理学療法学術大会
第51回近畿理学療法学術大会
セッションID: 94
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離床の推進について呼吸サポートチームの取り組み
~当院看護師の意識調査から~
*中井 秀樹江川 真代福田 由里子矢木 泰弘川添 哲央
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抄録
【目的】我が国における高齢者の国民医療費は65歳以上が51%を占め、疾患別死亡率では、悪性新生物・心疾患・脳血管障害に次いで、呼吸器疾患が第4位である。原疾患以外にも呼吸器疾患の合併症、栄養状態の低下、廃用症候群、循環動態の不安定などから離床遅延が問題となっている。それに伴い、医療・看護・介護支援を要する高齢者が増加している。今後さらに在宅復帰困難となる高齢者の増加が予想される。このような背景の中、呼吸サポートチーム(以下:RST)での理学療法士の活動の持つ意味は大きく、2010年より当院でも全ての呼吸器症状の患者を対象に、早期離床から在宅生活の維持に関わり、法人全体で支えていく仕組みを創設した。RSTの事業効果には、各部門との連携(協同効果、組織効果)が不可欠である。前者は関連職種の活動を集中化し、早期離床方法の検討や24時間の専門的管理を行い、後者では呼吸管理を計画化し、各部門の主担当間での治療の方向性について随時調整を行うことで、退院までの治療や在宅生活の充実に向けて効果を高めている。これを継続維持させるために必要となるのは各部門の直接参加、協力、連携を高めることだと考え、問題を細分化することで今後の展開を検討した。 【方法】対象は、平成22年9月から平成23年1月までにRSTで介入し、退院に至った21症例に対し、カルテの転記から回診の効果について、質的研究方法で後ろ向きに回診のデータを収集。効果的に介入が出来た症例、介入が十分に行えなかった症例に分けて現状の把握と問題点の抽出を実施した。さらに現状分析を中心とした看護師90名を対象とし、離床を進める上での意識調査、自由記述のアンケート調査を実施し、問題を細分化することで検討した。 【説明と同意】本研究の主旨について書面にて説明し同意を得た。 【結果】今回、呼吸器の患者に対し効果的に介入出来た症例は、2割強で、効果的に介入出来なかった症例は、7割強であった。効果的に介入出来なかった理由として、医療者の問題、RSTとしての活動の認知度が低いこと、RSTメンバーの間での連携・連絡の漏れ、現場での評価技術の未熟などが挙げられた。看護師を対象とした離床に関する意識調査では、離床の実施にて看護師間で相談しているか、離床計画の立案は出来ているか、離床の進行状況を把握しているか、他職種との連携は行えているかについて調査を行った結果、組織の明白化、評価マニュアルの簡略、必要物品の選定、医師との連携が難しいとの結果が得られた。 【考察】地域社会で高齢者の増加が予測され、病態の複雑化、離床の遅延から合併症のリスクも高くなり、理学療法士だけの活動では早期離床は困難であり、関連職種との強い連携は必須の条件である。法人全体で支えていく仕組みが創設されたが、現場では様々な要因により十分な介入を行えていない状態が露呈された。今後のより良い展開を検討していく必要がある。看護師対象とした各調査において、直接業務に時間がかかり十分評価、介入が出来ていない現状もある。直接業務の時間の中で、効果を上げるために呼吸器症状の評価マニュアルの作成、評価練習会の実施、定期的にRSTの業績発表、病棟への認知度の向上、定期勉強会の開催による啓蒙活動、回診の選出漏れ対策、回診記録の見易さについて今後検討し実施していかねばならない。 【理学療法研究としての意義】現在、高齢の患者が増加し早期の離床に理学療法士が関わる場面が多くなっている。治療効果を高めるためには機能訓練の時間だけでなく、その他の時間において専門的な管理、情報の共有が必須である。現状分析、問題の細分化し、十分な効果を高めるために理学療法士としてどのように関わる必要があるのかを考え、看護師の意識調査を行うことで、24時間の専門的な管理を考える一助となる。
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© 2011 社団法人 日本理学療法士協会 近畿ブロック
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