大阪湾では, 湾奥部で富栄養化に起因する問題が生じている一方で, 湾西部や隣接する播磨灘では栄養塩不足が問題となっている。本研究では, 淀川から流入する栄養塩が大阪湾奥に偏在するプロセスを把握するため, 河口部汽水域における有機態窒素 (Org-N) の分布, 起源と分解特性について調べた。汽水域ではOrg-N濃度が淡水域及び海域の両側に比べて大幅に高いことが現地観測により示された。Org-Nのうち74 ± 11%は粒状有機態窒素であり、一定の沈降速度を持つ形態であった。また低塩分水とともに沖側へ流出すると考えられる汽水域表層の溶存有機態窒素の100日間分解率は29 ± 4%であった。このような河口部汽水域の有機物の形態および分解特性を考慮することは, 陸域からの負荷が海域の栄養状態に及ぼす影響を調べるためのモデルの高精度化につながると考えられる。