抄録
これまで、シクロペンタン-1,3-ジラジカルの2位上に酸素官能基を導入すると、そのスピン多重度が一重項となることを見出してきたが、その寿命は室温でns-μs程度と短い。それは、速い分子内環化や2位上置換基の1,2-転位が起こるためである。そこで今回、シクロペンタン-1,3-ジラジカルの2位の炭素原子をSiやGeに変えると、その分子内環化生成物CP2のひずみエネルギーが大きいことや、2位上置換基転位生成物MG2の弱いπ結合エネルギーのために、1,3-ジラジカルDR2の方が安定であることを量子化学計算により見積り、1,3-ジラジカル種の長寿命化が期待できることを見出した。