抄録
トリフェニルアミンのオルト位をヘテロ元素で架橋した化合物は、_丸1_平面性の向上、_丸2_架橋によって生成する6 員環8π 電子構造による電子供与性の増大とラジカルカチオンの安定化、などの性質が期待される電子的に興味の持たれる化合物である。今回、磁性構成成分の基本構造開発の一環として、トリフェニルアミンの三つのオルト位を酸素で架橋した化合物を新たに合成し、その構造や電気化学的性質について検討を行った。このものは酸化により容易にラジカルカチオン種に変化した。ラジカルカチオン種は室温、空気飽和下で安定であり、その構造を明らかとした。中性種がオワン型の構造をしているのに対して、ラジカルカチオン種は平面構造をしていた。