抄録
最近われわれは非対称フマル酸エステルもしくはアミドに対して、反応条件を選択するだけで、チオールのマイケル付加が非常に高い位置選択性で進行することを見出した。この反応の位置選択性の見られる理由について、競争反応および分子軌道計算を用いて検討した。アクリル酸アミドとエステルのチオールの競争的付加では、塩基触媒ではエステルのほうがアミドに比べて速くなるのに対して、塩基非存在下ではアミドのほうが逆に速度が速くなることがわかった。フマル酸エステルアミドとそれをプロトン化したイミニウムイオンについて分子軌道計算を行ったところ、付加の逆転がこの寄与によることが明らかとなった。