2011 年 2011 巻 62 号 p. 11-17
屋外ではせ架けして越冬させたいもち病罹病稲わらは翌年5 月末頃でも分生胞子形成能を保持していた.越冬わらから分離された菌株と稲わら近くで発生した本田葉いもち初発病斑から分離された菌株は,レースおよびゲノム中に存在する転移因子Pot2 およびMGR586 を対象にしたDNA フィンガープリントのバンドパターンが全部または一部の菌株間で一致したことから,それらは同一個体群のものと考えられた.また,稀少レースである437.1 菌が越冬わらと葉いもち初発病斑から分離されたこと,葉いもち初発生時期が宮城県全体の初発生時期であったこと等から,供試水田で発生した葉いもちの多くは越冬わらから伝染したものであり,宮城県中部地域においては屋外にはせ掛けした罹病わらでイネいもち病菌は越冬可能であり,はせ架けした稲わらは葉いもち伝染源になり得るものと考えられた.