2012 年 2012 巻 63 号 p. 37-41
北海道においてジャガイモ疫病による塊茎腐敗に対する薬剤の効果を的確に判定するための試験条件を検討した.その結果,1.ばれいしょは塊茎腐敗の発生が多くなる8 月末以降の低地温期に試験可能である中晩生~晩生品種を用いること,2.試験薬剤の散布開始時に均一かつ十分量の伝染源を確保するため,疫病初発期から8 月初旬までマンゼブ水和剤もしくは銅剤による圃場全面防除を行うこと,3.無処理区の早期枯凋による判定不能を回避するため,塊茎腐敗に対して効果の低いマンゼブ水和剤の区を比較対照区として設けること,これら3 点を考慮した試験設計が必要と考えられた.上記設計に基づき実施した3 カ年の試験では,供試薬剤の塊茎腐敗に対する防除効果を安定して評価できた.供試薬剤のうち,アミスルブロム水和剤とシアゾファミド水和剤は効果が認められ,シモキサニル・TPN 水和剤は効果が低く,マンゼブ水和剤は実用的な防除効果は無いと判断された.