北日本病害虫研究会報
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後期追肥によるイネのいもち病発病を助長させない飼料米生産
鬼頭 英樹善林 薫中島 敏彦
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2014 年 2014 巻 65 号 p. 13-18

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抄録

多窒素条件下においていもち病の発病を抑制した飼料米生産を可能にする方法として,いもち病発生初期の追肥を控えることで稲体窒素量を抑え,通常より遅い時期に追肥を行った場合の効果を調べた.後期追肥区ではいもち病の発病が普通期追肥区に比べ抑制されたが,追肥効果は年度によって変動し,薬剤処理ほど明瞭な効果は見られなかった.後期追肥による収量への影響は認められず,粗玄米タンパク質含量は上昇した.薬剤4 成分処理を対照として,後期追肥と組み合わせによる成分数削減を検討した.箱剤施用と茎葉散布剤を用いた栽培では葉いもちおよび穂いもちにおいて高い防除価を示した.茎葉散布剤のみでは,後期追肥区の減農薬区で普通期追肥区の4 成分区と同程度の防除価が認められた.真性抵抗性イネ品種や圃場抵抗性の強いイネ品種を用いると多窒素条件でもいもち病の薬剤防除は不要であった.SPAD 値(葉緑素量)は,普通期追肥区より後期追肥区で低く推移した.

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© 2014 北日本病害虫研究会
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