2014 年 2014 巻 65 号 p. 139-145
ポット試験において,播種時の土壌中のダイズシストセンチュウ(SCN)密度とアズキ子実重との間には,有意(P<0.01)な負の相関が認められた.また,SCN 密度の増加に伴う子実重の減少は主要品種間で同様の傾向を示し,播種時のSCN 密度が低密度(乾燥土壌1g あたり10 卵・幼虫未満)の場合,子実重は健全土壌と有意な差が無かった.発生圃場における試験でも同様の傾向であり,低密度の場合,アズキはSCN によって減収する可能性が低いと考えられた.一方,中密度(同10 以上100 未満)以上の場合,子実重はポット試験で健全土壌よりも有意(P<0.05)に減少し,発生圃場では中密度で平均19~46%,高密度(同100 以上)で平均46%減少した.環境条件による変動の幅を考慮すると,北海道におけるSCN によるアズキの被害として,SCN 密度が中密度の場合は概ね20%以上,高密度の場合は概ね50%以上減収すると考えられた.