北日本病害虫研究会報
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ブドウ‘シャインマスカット’におけるボルドー剤散布を基幹とした病害防除体系の可能性
須崎 浩一新井 朋徳
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2015 年 2015 巻 66 号 p. 92-96

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抄録

ブドウ‘シャインマスカット’は良食味で皮ごと食べることができ,無核栽培が可能なことから消費者の人気が高い.東日本大震災で被害を受けた宮城県沿岸地域における早期の営農再開を目指し,短期間で結実可能で収益性の高い本品種の導入が図られている.そこでボルドー剤散布を基幹とし化学合成農薬を削減した本品種に対する病害防除体系の構築を試みた.試験は果樹研究所ブドウ・カキ研究拠点内で2 か年実施した.初年は通年でボルドー剤を8 回散布,2 年目は開花期〜袋掛け直前までの3 回を化学合成農薬散布とし,それ以外の5 回をボルドー剤散布とした.無散布区ではべと病,うどんこ病,黒とう病,灰色かび病がみられたが,黒とう病,灰色かび病の被害は軽微であり,葉上のべと病,果実上のうどんこ病に対する防除効果を調査した.いずれの年も所内の慣行防除(散布8 回のうち化学合成農薬5回使用)に比較して同等もしくは優る防除効果を示した.

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© 2015 北日本病害虫研究会
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