2021 年 2021 巻 72 号 p. 87-92
クモヘリカメムシは,分布域拡大が懸念されている斑点米カメムシ類である.これまで本種の捕獲事例がほとんどない福島県県北地方と相馬郡飯舘村の水田において,2020年に発生実態を調査した.その結果,これらの地域の水田でクモヘリカメムシが1世代を経過し,本種加害による斑点米被害が発生していることが明らかになった.県北地方は,本種の越冬可否に深く関与していると考えられている2月上旬の日最高気温の平均値4.7 °Cを超えた回数(2011~2020年)が多く,本種が定着していると考えられた.一方,相馬郡飯舘村でも本種が捕獲されたものの,越冬可能条件の発生回数が少なかった.この地域では,既に定着している近隣地域からの移動,侵入の可能性がある.