日本航空宇宙学会誌
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特集 DREAMS(次世代運航システム)プロジェクトの成果について 第6回
防災・小型機運航技術~より多くの人を救うために~
小林 啓二
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2016 年 64 巻 10 号 p. 305-308

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抄録

日本では,総務省消防庁,災害派遣医療チーム(DMAT),自衛隊等の災害対応機関が運用する災害救援航空機による救援活動が頻繁に発生している.宇宙航空研究開発機構(JAXA)が研究開発を進めてきた「災害救援航空機情報共有ネットワーク(D-NET)」の目的は,①「より安全かつ効率的な救援航空機の運用を実現するために災害対応機関間での情報共有を実現する」,②「共有された情報に基づいて機種や装備等に応じた最適な任務割当支援を行う」ことである.JAXAは,機上及び地上システムの開発を行い,災害対応機関と連携して実運用下での有効性評価を実施してきた.その結果,D-NETを活用することにより,無駄時間(任務割当待ち時間,離着陸許可までの時間,給油待ち時間等)や異常接近確率を従来方式と比較して50%以上削減可能であることを確認した.研究開発されたD-NET技術のうち,特に有効性が認められたものについては民間企業等に技術移転され,実運用で使用されてきている.現在は,ヘリコプタのみではなく,陸域観測技術衛星(ALOS-2)や無人機などで観測された災害情報も共有化し,ヘリコプタによる救援活動の計画立案に役立てるシステムの研究開発(D-NET2)を進めている.

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© 2016 一般社団法人 日本航空宇宙学会
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