日本航空宇宙学会誌
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特集 宇宙からの高性能光学観測を支える技術 第3回
X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)搭載軟X線分光検出器(SXS)用振動アイソレータの開発
安田 進
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キーワード: Vibration, Satellites, Isolator, Cryocooler
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2017 年 65 巻 2 号 p. 31-35

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抄録

ひとみ(ASTRO-H)は,2016年2月17日に種子島宇宙センターからH-ⅡAで打ち上げられたX線天文衛星である.軟X線分光検出器(SXS)は,ひとみに搭載されている検出器の1つで,軟X線の波長を測定するものである.SXSの開発段階において,液体ヘリウム冷却用の2段スターリング冷凍機を駆動すると検出器ノイズが大幅に増加し,目標の分光性能を実現できないことが判明した.原因を切り分けた結果,ノイズの原因は冷凍機の微小振動によるものと推定された.そこで,SXS開発チームは,冷凍機用の振動アイソレータを開発し,冷凍機駆動による検出器ノイズを無くすことに成功した.そして,ひとみは打ち上げ後の初期校正運用中のSXSの観測結果において,高い科学的成果を挙げた.本稿では,開発した振動アイソレータの概要と,開発時の主要な課題について紹介する.

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© 2017 一般社団法人 日本航空宇宙学会
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