2019 年 67 巻 7 号 p. 247-253
気候変動観測衛星「しきさい」に搭載している光学センサの「多波長光学放射計」(SGLI, Second generation GLobal Imager)は,近紫外(380 nm)から熱赤外(12 μm)までの波長範囲を19の観測チャネルによりカバーし,250 m分解能の1000 km以上の観測幅により全地球を約2日の頻度で連続観測する中分解能多波長広域観測光学センサである.SGLIは,環境観測技術衛星「みどり2」の後継センサとして開発をスタートし,地球環境変動観測ミッション(GCOM, Global Change Observation Mission)の2号機である「しきさい」のミッション機器として2017年12月23日にH-ⅡAロケット37号機により打上げた.2018年1月1日に初画像を取得して以降の1年間の初期校正検証を完了し,2018年12月20日より観測データを一般に公開している.本解説では,SGLIの概要やBreadboard Model(BBM),Engineering Model(EM),Proto Flight Model(PFM)という3種類のモデルを製作したセンサ開発の結果,打上げ後12カ月の軌道上初期校正検証結果について報告する.