日本航空宇宙学会誌
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特集 実フライトレイノルズ数への空気力学の挑戦 第10回
防衛大学校低温風洞の最近の話題
樫谷 賢士山口 裕小野 洋彰田口 正人
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2019 年 67 巻 7 号 p. 239-246

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抄録

実フライトレイノルズ数による風洞試験の1つとして,高レイノルズ数気流実験の重要性が広く知られている.防衛大学校低温風洞は1985年に建設され,比較的高いレイノルズ数で高亜音速を中心に翼型流れの基礎研究に用いられてきた.本風洞の運転法やシステムの改良は段階的に行われ,比較的高いレイノルズ数で翼型実験における風洞補正法などで成果を得てきた.しかし,本風洞は建設から30年以上が経過し,経年による不具合などが生じ抜本的な修理/改修が必要となっていた.このような問題の解決と本風洞のさらなる活用を目指して,現在,風洞の修理/改修や3次元模型用風洞天秤など新たな計測装置の導入に取り組んでいる.風洞運転に関する取り組みでは,これまで制御盤と電子計算機で行っていた警報システムを統一し,視認性の高いタッチパネルを導入した.これにより安全性が高く精度の良い風洞の運転が可能となった.また,新たに導入した非保温型の低温風洞用天秤では,天秤の校正方法を提案し,予備実験としてAGARD-B模型による空力試験を試みた.その結果,同低温風洞用天秤による3次元模型の空力試験の可能性が示された.

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© 2019 一般社団法人 日本航空宇宙学会
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