日本航空宇宙学会誌
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特集 「きぼう」日本実験棟 簡易曝露実験装置(ExHAM)を支えるミッションと利用計画 第12回
放熱面に用いる熱制御材料の曝露実験
柴野 靖子金城 富宏小川 博之
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2019 年 67 巻 9 号 p. 310-314

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抄録

「Advanced Radiation Material(ARM)」の実験では,宇宙機の最外層に搭載する放熱面材料の軌道上の劣化データを取得する.地上試験では加速試験かつ単一の劣化要因の照射試験となるために地上では再現できない宇宙環境に実時間で曝露することにより,現在使用している熱制御材や新規に採用を検討している熱制御材,新規に開発した熱制御材の宇宙環境下での劣化データを取得する.熱制御材は宇宙機放熱面への実際の搭載方法を模擬して接着された状態で曝露して劣化状況の把握・評価を行い,材料選定や熱設計の参考となるデータを取得する.加えて,地上の設備を用いた評価試験結果と比較し,劣化メカニズムを解明する.新規材料の軌道上実証も目的の1つである.本実験では試料の曝露期間を1年間,2年間,3年間とし,それぞれの経過年での熱光学特性,導電性等の劣化データを取得し,地上試験と比較する予定である.これまでに1年間の曝露を終えた試料が帰還しており,これらの試料を分析している.

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© 2019 一般社団法人 日本航空宇宙学会
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