2018年10月25日に宇宙科学技術連合講演会でオーガナイズドセッションを行い宇宙飛行士の健康維持に関する取り組みを発表した.宇宙飛行士を対象とした筋力トレーニング軌道上実験の過程,成果,スピンオフについて発表し,将来の有人宇宙開発,宇宙医学研究について討論し,宇宙医学研究の重要性について理解を深めた.その内容を,要点を踏まえながら紹介する.
レイノルズ数は,流体の粘性の影響を表す無次元相似パラメータである.民間航空機(小型を除く)の実フライトにおけるレイノルズ数は107以上のオーダであり,実験室や一般的な風洞試験のそれは106のオーダなので1桁以上の差がある.この差が流れ現象や航空機の空力特性にどのような影響を及ぼすかがここでの主要な興味である.まず,レイノルズ数の持つ現象論的な意味や工学的に使われる定義について触れる.次に,科学(学術)的研究の側面からは,高レイノルズ数の壁面乱流における速度分布,定数系,摩擦則,渦構造等の研究状況や課題についてサーベイし分析する.最後に,高レイノルズ数の工学的研究の側面に関して,米国AIAAで行われている系統的なワークショップや欧州におけるプロジェクトの状況,高レイノルズ数の解析法や計測法についてサーベイし分析する.
「Advanced Radiation Material(ARM)」の実験では,宇宙機の最外層に搭載する放熱面材料の軌道上の劣化データを取得する.地上試験では加速試験かつ単一の劣化要因の照射試験となるために地上では再現できない宇宙環境に実時間で曝露することにより,現在使用している熱制御材や新規に採用を検討している熱制御材,新規に開発した熱制御材の宇宙環境下での劣化データを取得する.熱制御材は宇宙機放熱面への実際の搭載方法を模擬して接着された状態で曝露して劣化状況の把握・評価を行い,材料選定や熱設計の参考となるデータを取得する.加えて,地上の設備を用いた評価試験結果と比較し,劣化メカニズムを解明する.新規材料の軌道上実証も目的の1つである.本実験では試料の曝露期間を1年間,2年間,3年間とし,それぞれの経過年での熱光学特性,導電性等の劣化データを取得し,地上試験と比較する予定である.これまでに1年間の曝露を終えた試料が帰還しており,これらの試料を分析している.
地球環境変動観測ミッション(GCOM : Global Change Observation Mission)は,地球規模での気候変動・水循環メカニズムを解明する上で有効な物理量を全球規模で観測し,気候や地球環境の変動過程解明や,予測精度の向上,国民生活への貢献を目指したミッションである.2017年12月に打ち上げられた気候変動観測衛星GCOM-C「しきさい」には多波長光学放射計(SGLI : Second-generation Global Imager)が搭載され,現在,定常的な全球観測運用を継続中である.SGLIにより2~3日に1回の頻度で全球の観測を行い,19波長バンドの高精度な放射輝度データを用いて,植生,雲,エアロゾル,海面水温,雪氷等の様々な物理量プロダクトが生成する.SGLIの物理量プロダクトは,2018年12月より公開を開始した.本稿では,SGLI観測計画の立案から観測データの受信・処理・提供までの一連のGCOM-C観測運用及び,作成するSGLIの観測プロダクトについて解説する.