2020 年 68 巻 12 号 p. 358-364
HTV搭載小型回収カプセル技術実証ミッションでは,2018年11月,日本として初めて,我が国の再突入機による国際宇宙ステーションからの宇宙実験(タンパク質実験および静電浮遊炉実験)のサンプルの回収に成功した.宇宙で生成した貴重なサンプルを無事に地上に回収するためには,再突入中も含めた回収運用の全期間において,温度等の環境条件を適切に制御することが必要である.本稿では,同ミッションにおいて高いペイロード温度維持性能が実証された魔法瓶技術を採用した真空二重断熱保冷容器について,その開発および運用結果について紹介する.