2020 年 68 巻 9 号 p. 272-279
HTV搭載小型回収カプセル(HSRC)は,国際宇宙ステーション(ISS)からのサンプル回収をミッションとした実証機であり,2018年11月に飛行実証に成功した.本稿ではHSRCの航法誘導制御系の設計開発及び飛行結果を紹介する.我が国には誘導制御を前提としたカプセル型再突入機の開発経験がないため,HSRCでは,飛行中の荷重倍数の低減及び定点誘導のための揚力誘導技術がキー技術の一つとなった.この技術は,飛行中にカプセルに加わる揚力をバンク角により調整し,重力方向の沈下率及び飛行距離を制御する.HSRCでは誘導則に実時間予測積分を採用し,不確定性に対するロバスト性を向上させた.航法誘導制御系の設計評価はモンテカルロ・シミュレーション(MCS)と並行して,クリティカルな懸念点に関してはそれぞれに特化した解析を実施することで行われた.実飛行結果から,設計した航法誘導制御が正常に動作し,目標とした揚力誘導技術の獲得に成功したことを示す.