2021 年 69 巻 2 号 p. 52-57
カプセル形状の飛行体は,遷音速領域で動的不安定となることが多い.揚力カプセルである小型回収カプセルの動特性を推定するため,ピッチ方向の自由回転風洞試験を行った.連続回流式のJAXA 2 m×2 m遷音速風洞では,マッハ数やRe数に加えて,無次元慣性能率を一致させることにより,無次元時間上で実機の角運動を模擬することができる.揚力カプセルのトリム角およびトリム角周りの角運動は,マッハ数で大きく変化する.各マッハ数の最大振幅から,パラシュートの開傘マッハ数を計画した.また,実機の角振動の周波数を推定した.さらに,ピッチ角運動の時間履歴から,誘導制御シミュレーションに必要な動安定微係数を求めた.最後に,風洞試験データと飛行データの比較を行った.