日本航空宇宙学会誌
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特集 超小型衛星打上げ機:SS-520 5号機の開発 第10回
TRICOM-1R(たすき)の開発と軌道上運用成果
青柳 賢英松本 健小畑 俊裕中須賀 真一
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2021 年 69 巻 2 号 p. 58-63

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抄録

TRICOM-1Rは実用的な超小型衛星の実現を目的として開発した3U-CubeSatであり,将来の衛星量産化を視野に入れ,機能の移植性及び汎用性の高いシステムを目指して開発された.メインミッションは高感度無線デバイスを用いたStore & Forward及び複数台のカメラによる地球撮像等である.TRICOM-1Rの衛星バスは,「ほどよし衛星シリーズ」の基盤技術の成果を基に軌道上実証された民生部品を多く使用するとともに,システムアーキテクチャはこれまでの超小型衛星の開発・運用成果のLessons Learnedを多く利用している.2018年2月3日にISAS/JAXAの観測ロケットSS-520 5号機により軌道上に打上げられ,衛星の健全性が確認され,初期運用及びミッション運用にも成功した.本衛星は同年8月22日に地球大気圏に再突入し,既に運用を終了している.本稿では,衛星バスの開発結果,初期運用の成果及び運用終了に至るまでの軌道上評価に関して報告する.

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