日本航空宇宙学会誌
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連載 地球/月圏での人間社会の構築に向けた人文・社会科学研究 第6回
Ⅲ.宇宙での知的活動の展開—芸術の取り組みと展望—
逢坂 卓郎
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2023 年 71 巻 5 号 p. 129-135

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抄録

アートは,その時代の概念を多様な視点から見据え,新たな世界観を提示してきた.人類の絶えることのない宇宙への眼差しについても例外ではない.科学技術により明らかにされてきた宇宙観や宇宙の姿に刺激され,展開されてきたアートについて概説する.まず,20世紀初めの重力からの解放を目指したアートからISSで実施された宇宙芸術実験に至る“0Gアート(Zero Gravity Art)”の系譜を紹介する.次に同時代に現れたアースワークの背景にある古代の天体観測技術が現代に至るまで,宇宙アートという潮流を形成したこと,また,多くの宇宙飛行士が語る“宇宙の視座”は地球という基準系を超えた世界観を提示し,コスモポリタニズムを想起させることを事例を通して論じる.さらに宇宙進出に際して,地球生命から宇宙生命への意識の覚醒を迫られる人類の姿と,領域を横断するアートについて展望する.

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© 2023 一般社団法人 日本航空宇宙学会
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