回転デトネーションエンジン(Rotating Detonation Engine, RDE)は,ロケットエンジンやガスタービンエンジンにおける既存技術を置き換えるポテンシャルを持つ技術として近年期待されている.宇宙航空研究開発機構(JAXA)ではロケット上段エンジンなどの宇宙用途のRDEに大きな関心を持っており,回転デトネーションロケットエンジンの基礎研究を進めている.その最初の取り組みとして,メタン(CH4)・酸素(O2)を燃料・酸化剤とした回転デトネーション燃焼器による燃焼試験および光学測定と並行して,回転デトネーション波の伝搬特性と詳細な構造を明らかにするためにラージエディシミュレーション(Large-Eddy Simulation, LES)などによる非定常CFD解析を実施している.本稿ではJAXAにおいてこれまでに実施されたRDEに対する燃焼解析の結果を紹介する.
アートは,その時代の概念を多様な視点から見据え,新たな世界観を提示してきた.人類の絶えることのない宇宙への眼差しについても例外ではない.科学技術により明らかにされてきた宇宙観や宇宙の姿に刺激され,展開されてきたアートについて概説する.まず,20世紀初めの重力からの解放を目指したアートからISSで実施された宇宙芸術実験に至る“0Gアート(Zero Gravity Art)”の系譜を紹介する.次に同時代に現れたアースワークの背景にある古代の天体観測技術が現代に至るまで,宇宙アートという潮流を形成したこと,また,多くの宇宙飛行士が語る“宇宙の視座”は地球という基準系を超えた世界観を提示し,コスモポリタニズムを想起させることを事例を通して論じる.さらに宇宙進出に際して,地球生命から宇宙生命への意識の覚醒を迫られる人類の姿と,領域を横断するアートについて展望する.