2023 年 71 巻 6 号 p. 151-155
ADS-B(Automatic Dependent Surveillance-Broadcast)は近年の航空機には多く搭載され,誰でも受信機を設置することでリアルタイムに航空機の位置情報や速度情報などのデータを取得することができる.ADS-Bは航空機間のリアルタイム制御や管制に使用されることを想定されているが,研究や事後分析用途で使用することも有用である.しかしながら,ADS-Bによりどの程度の精度でデータが取得可能か,ということについて検討した論文は少なく,特に垂直方向の精度分析は皆無といっていい.本稿では,進入・着陸フェーズに焦点をしぼり,ADS-Bに含まれるデータからどの程度の精度で航跡を抽出可能かということについて検証を行った.その際,カルマンスムージングと呼ばれる平滑化手法を用い,検証のための真値データをGBAS(Ground Based Augmentation System)により取得した.