2023 年 71 巻 9 号 p. 233-239
航空移動サービスにおいて遅延の軽減,つまり定時性の確保は競争力の源泉の一つであり,将来の航空交通システムの長期ビジョン「CARATS」においても施策目標の一つに挙げられている.しかしながらCARATS策定後,継続して定時到着率は悪化傾向にあり,COVID-19の影響で航空交通量が激減したことにより一時的に定時性は向上しているが,今後の交通量の回復や増大によって,定時性が悪化する可能性も高い.遅延の軽減策立案のためには遅延の要因を正確に把握することが重要であるが,我が国では出発時の遅延要因をマクロに分析するに留まっており,最終的に重要な到着遅延の要因や大きなシェアを占める機材繰り遅延(波及遅延)要因の背後にある真の遅延要因に関する分析は十分に行われていない.そこで本稿では,遅延要因・飛行軌跡・気象データを統合的に用いて国内航空路線における到着遅延要因の推計を行った結果を紹介する.