2023 年 71 巻 9 号 p. 240-246
福岡空港は単独滑走路で運用される国内空港の中では最も交通量の多い地方空港であり,滑走路の増設が計画されているものの,常態化している混雑の解消が急務である.その中で,北風運用(RWY34)の多い冬季にはILSやRNAVルートよりも短時間で着陸できるビジュアルアプローチが国内の主要空港としては唯一利用されている.一方,ビジュアルアプローチではオートパイロットが使用できず,非常に高いスキルとワークロードがパイロットに要求される.本稿では,CARATS OPEN DATAを利用してこのビジュアルアプローチの利用状況を解析し,ビジュアルアプローチに代わってオートパイロットの使用が可能なRNPAR方式を新設滑走路への進入方式として提案する.その実現可能性について解析するとともに,METARデータを利用して気象条件の面からも2016–2017年のビジュアルアプローチおよびILS/RNAVアプローチに対するRNP-AR方式の優位性について検討した結果を示す.