2024 年 72 巻 11 号 p. 396-402
電気推進系は,ミッション機器の搭載量を増加させる観点から,次世代静止通信衛星に求められる衛星バス技術の中でも主要な開発項目と位置付けられている.電気推進系の新規開発技術を大別すると,①軌道上実績を有する電気推進機を採用したサブシステム開発,②高推力(大電力)な国産ホールスラスタ及び国産電気推進用電源開発の2項目である.前者のサブシステム開発は,ホールスラスタを如何に使い熟すかが重要になる.ホールスラスタの噴射時は姿勢軌道制御系と協調的に機能することが求められるため,電気推進系を理解する上で欠かせない軌道制御を概説し,またホールスラスタを搭載した衛星システムとして機能性能を発揮するために重要な試験検証についても解説する.後者の国産ホールスラスタシステムは,実証機器として位置付けており,ETS-9での開発実証成果を踏まえて次世代静止通信衛星に搭載を目指す計画である.本稿においてはサブシステムを構成する一部として紹介し,詳細に関しては他の特集記事にて細述する.