2024 年 72 巻 2 号 p. 56-62
超低高度衛星技術試験機「つばめ」(SLATS: Super Low Altitude Test Satellite)では,超低高度からの観測を技術実証するため,軌道高度を変更あるいは維持するために電気推進系(イオンエンジンシステム:IES)と化学推進系(RCS)の2種類の推進系が搭載されている.RCSはヒドラジン一液式であり,そのスラスタには定格推力1 N[ニュートン]の国産スラスタ(以下1 Nスラスタ)が4基使用された.この1 Nスラスタは2009年から2012年にかけて新たに開発され,従来の1 Nスラスタと比較して,飛躍的な長寿命および高信頼性,低コストを実現した.「つばめ」のRCSにファーストフライト品として採用され,軌道上においてその機能・性能を実証するとともに,「つばめ」のミッションの成功に貢献した.本稿では,この1 Nスラスタの開発過程と軌道上動作について紹介する.