2024 年 72 巻 6 号 p. 206-213
プラネタリーディフェンス活動において,地球に衝突する可能性のある,いわゆる地球接近天体を発見することがまずは必要である.そのような候補が見つかった場合に,見失ってしまわないように速やかに追加の位置測定観測を行い軌道を定めることが重要である.また,衝突の回避や衝突時の被害を小さくする検討のための情報として地球接近天体の素性を調べる物理的な観測も必要とされる.本稿ではプラネタリーディフェンスに向けた活動に関連して,美星スペースガードセンターでの観測活動,JAXAで開発した高速画像処理技術(重ね合わせ法),東京大学木曽観測所のトモエゴゼンカメラ,すばる望遠鏡の観測データから太陽系小天体を発見・報告できるウェブアプリケーションCOIASなど,国内における地球接近天体の観測活動について紹介する.