米国が主導するArtemis計画によると,2020年代末から月の南極域における有人探査が計画されている.また,2030年代の初めにはヨーロッパの月着陸機Argonautの月南極域への着陸及び貨物輸送が計画されている.日本もArtemis計画への貢献として有人与圧ローバの開発を進めている.これらと並行して,月探査活動の基盤インフラとなる測位・通信システムを月圏に構築し,月面や月軌道上のユーザに対して測位・通信サービスを提供するLunaNetという計画が欧米主導で進められている.このLunaNetは,測位・通信の国際相互運用を可能とする共通のフレームワークであり,日本(JAXA)もLunaNetに初期段階から参画する.本稿では,国際的に議論が進むLunaNetや,その測位サービスであるLunar Augmented Navigation Service(LANS)について説明し,JAXAの月測位衛星システム(LNSS)の概要とLANSへの貢献,特にNASA・ESAとの共同実証として2028年実施で提案しているLANSの相互運用性実証ミッションについて説明する.