2025 年 73 巻 4 号 p. 99-105
本稿では,火星飛行探査のための機体設計に関する研究開発の一環として行われた,第2回高高度大気球試験(MABE-2)飛行試験機の開発・飛行試験の分析における数値流体力学(Computational Fluid Dynamics: CFD)について述べる.MABE-2の試験機は,火星の低大気密度環境での飛行が可能になるように概念検討がなされ,空力面では揚力獲得や安定性の確保が求められた.MABE-2では,風洞実験だけでは困難な低密度環境下での空力性能を評価し,データベースを作成するためにCFDを活用して,迎角や偏角,Reynolds数,舵効きの影響を検討した.CFDと風洞実験結果の比較により,両者の良好な一致が確認された.また,機体に搭載された微小なアンテナの露出やアライメントについても検討し,空力モデルの作成に用いた.MABE-2は,2023年7月に実施され,その飛行条件から空力モデルとCFD結果との比較を行い,空力特性に関する知見が得られた.MABE-2において,空力データベース構築におけるCFDの活用は,実環境を模擬することが難しい今後の惑星航空探査機開発をはじめ,航空機・宇宙設計の効率化への貢献を示した.