土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
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環境システム研究論文集 第39巻
農畜産業由来の温室効果ガス排出量とその削減ポテンシャルの将来推計
長谷川 知子松岡 譲
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2011 年 67 巻 6 号 p. II_287-II_298

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抄録

 計量経済学的手法により世界食料需給モデルを構築し,それを用いて世界35地域を対象に2005~2030年における農畜産物の需給を推計した.推計した農畜産物の生産量に基づき温室効果ガス(GHG)の排出量と削減ポテンシャルを推計し,個々の対策技術の導入にかかる費用と削減効果を評価した.その結果,世界全体における主要穀物の生産量は2030年では2005年比約1.4倍,主要家畜の生産頭数は2005年比約1.3倍になった.2005年のGHG排出量は5.7GtCO2eqで,家畜反芻由来のCH4と農耕地土壌由来のN2Oが高い寄与率を示した.2030年での技術的削減ポテンシャル2.0GtCO2eqは2000年比約36%に相当し,限界削減費用20US$/tCO2eq下における経済的削減ポテンシャル1.2GtCO2eqは2000年比で約22%に相当することが示された.水田の中干し等の水管理や稲わらの秋すきこみや有機物管理において高い削減ポテンシャルが示された.

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