2025 年 73 巻 6 号 p. 199-204
小惑星や彗星のような天体の地球衝突から人類を守るプラネタリーディフェンスは,人類全体の問題として国際的に協力して実施されることが望ましく,技術的な事柄のみならず社会的にも様々な準備や対応が求められる.本稿では,特にプラネタリーディフェンスと国際法の関わりとして,天体衝突の危険を関知した場合の他国への通知義務,プラネタリーディフェンスミッションの実施や参加の義務,プラネタリーディフェンス活動(核使用を含む)の合法性,プラネタリーディフェンスに失敗した場合の責任構造,プラネタリーディフェンスに関する国際的な決定機関といったケースを取り上げて解説を行い,プラネタリーディフェンスにおいて人類が一致団結して協力できるよう,天体衝突の脅威が顕在化する前に準備しておくべき事柄について提言する.