抄録
【目 的】 本研究の目的は, 認知症高齢者の買い物・金銭管理におけるできる・できない行動特性を明らかにすることである. 【対象と方法】 対象はBグループホーム入所者及びC認知症専用デイサービス利用者22人である. 方法は野菜や果物等の実物, 魚や肉などのフードモデルを使用して模擬店を開催し, 2000円以内で今晩のおかずの買い物をしてもらった. 評価は一連の買い物・金銭管理行動の構成要素を手順化し, チェックリストを作成して観察記録した. チェックリストの項目は『準備』『選択・判断』『支払い』の大項目と, 大項目の行動を分類した合計30個の小項目から構成されている. 【結 果】 できた行動は, 30項目中9項目で『選択・判断』が最も多かった. できなかった行動は, 30項目中1項目のみで「かごを持ち歩きながら買い物をする」ことであった. 【結 語】 認知症高齢者ができる買い物・金銭管理行動特性を活かして, 日常生活で実際に繰り返し実践することが重要である.