抄録
【目 的】 小児期に骨髄ドナーになったきょうだいの経験を記述し, 小児ドナー経験者への看護支援を検討する. 【対象と方法】 8歳の時に6歳の妹に骨髄提供をした20代前半の女性A氏に面接を行い, 質的記述的に分析した. 【結 果】 A氏は骨髄提供について, 躊躇する気持ちや親の期待を感じながらも, 自分の意思で決めたと認識していた. 骨髄提供後は, 妹との一体感を感じるようになり, 妹を見守ってきた. 現在は, ドナーになってよかった, 自慢できることだと捉えていた. 【結 語】 小児ドナー経験者は, 現在の状況からドナーになった理由を捉え直すこと, レシピエントのQOLが自己価値観に影響を及ぼすことが示唆された. 思春期・青年期に歪んだ自己存在が認知されないよう, 継続した直接的支援とレシピエントを介した間接的支援の必要性が考えられた.