抄録
【目 的】 1999年から2008年までに日本国内で掲載された乳房温存術を受けた乳がん患者の看護に関する論文から, 研究の動向と課題を明らかにする. 【方 法】 「医学中央雑誌」を使用し,「乳がん」「看護」「乳房温存術」「乳房温存療法」をキーワードに検索を行い, 研究デザイン, 方法, 内容の分析を行った. 【結 果】 対象文献は49論文であり, 量的研究が53.1%と半数以上を占め, 研究デザインは, 因子探索的研究が最も多く57.1%であった. 研究内容は「心理的変化とストレスコーピング」(18コード : 36.7%),「治療に伴う機能障害の予防と生活への影響」(7コード : 14.3%),「治療選択やQOLに影響する要因」(8コード : 16.3%),「治療に関連した情報提供と支援ニーズ」(5コード : 10.2%),「看護介入プログラムの開発とケア実践の評価」(11コード : 22.4%) の5つのカテゴリに集約された. 【考 察】 以上の結果は, 乳房温存術や継続治療がもたらす心身両面への影響をQOLの視点から捉え, 心理的な看護介入プログラムによる介入研究がなされるようになってきていることを示している. 今後は介入研究を積み重ね, それらの評価に基づく効果的な介入プログラムの開発が望まれる.